ニッチな「ナノ地域メディア」はまだあまり掘られていないのではないか説

日吉駅周辺
日吉駅周辺

これだけコンテンツが溢れかえっていても意外とネットでは見つけにくい情報というのがあって、そのひとつはインターネット以前に書かれた文書(で筆者が有名だったり学術的価値があったりしないもの)。そしてもうひとつが、非常に狭い範囲の地元の情報ではないかと思います。

自分がそのあたりに住んでいるということもあるのですが、「横浜日吉新聞」というメディアはその意味でとても面白い地域のネットメディアです。日吉エリアに縁のない人にとっては、ほとんど意味のない情報もたくさん流れていて、むしろそれが住む人にとっては読む動機になっていると思われます。
面白さの理由はこのエリア設定にあるのでしょう。

日吉周辺のことを知らないと規模感をリアルに認識しにくいかもしれないのですが、一般的に言って日吉エリアはいわゆるタウン誌が出せるような規模ではありません。これが吉祥寺や下北沢なら、ネットメディアもタウン誌も普通にアリなので、本稿での文脈からするとまったく面白くありません。

「横浜日吉新聞」
「横浜日吉新聞」

日吉は東急東横線の渋谷・横浜間の真ん中より少し横浜寄りの街で、慶応大のキャンパスがあるというのがパブリックイメージでしょうか。地元ではわりと人気があるけど、知名度は全国区ではまったくない。そんなに大きな商店街があるわけでもなく、駅上が東急百貨店ですが港北ニュータウンエリアのモールや武蔵小杉のモールができてからはそれも影が薄くなっています。基本的に、この街のなにかを目指して遠くから出かけてくるようなタイプの街ではないのです。
そんな微妙な規模と知名度の街に特化した地域メディアというのは、できた当時とても新鮮でした。
(対象エリアは、日吉・綱島・高田だそうです)

同じような規模とエリアの設定を持つ地域メディアはないかなと思って、ざっと探してみたところでは(どこかにあるとは思うのですが)、見つけられませんでした。
たとえば、「EBISUジャーナル(恵比寿新聞)」という独立系のウェブメディアがあります。「EBISUジャーナル」は有名ですし、記事も充実している面白いメディアですが、恵比寿という街の知名度は全国区です。恵比寿に地域メディアがあるのは全然違和感がないです。

「恵比寿新聞」
「恵比寿新聞」

◯◯経済新聞(みん経)」は多くが記名性の高い街とその周辺を対象にしています。ただ、中には一部けっこう細分化されたエリアもありますね。

地域メディアというと、近年は地方再生とのカップリングで注目されることが多いようです。もちろんそれは地域メディアなのですが、地方の地域メディアは、対象にするエリアがそれなりに広いものが多いように思います。たとえば「宮崎てげてげ通信」は宮崎県全体が対象エリアです(もちろん、目的が違うのですから、それでいいのですが)。

「月刊島民」
「月刊島民」

紙メディアですと、大阪の中之島を対象エリアにした「月刊島民」という雑誌があります。こちらは広さ的には十分狭いですが、読者として意識している相手は広いように思います。近くの人だけでなく、大阪圏全体の人たちに、中之島のカルチャーを伝える雑誌という感じでしょうか(私に中之島の知識が乏しいので認識がズレてたらごめんなさい)。

「徒歩かチャリの圏内」ぐらいのエリアに限定して、読み手も、そのエリアに住んでるか通勤・通学で毎日来る人がターゲット(ナノ地域メディア?)というのが「横浜日吉新聞」がユニークだったところだと思うのですが、同じような発想のメディアが作れるエリアは、首都圏だけでもいくつもあるような気がします。

ちなみに同メディアがアピタ(サンテラス・ユニー)がなくなることや、アピタ閉店後もそこに入っていたサブウェイが店を閉じずに営業していた件などをレポートしていたのは、超ニッチな地域メディアならではで、当時感心したのを覚えています。