「山伏と僕」坂本大三郎

この本を買うきっかけとなったのは、先月末、山梨県・導志の森で開催された「ナチュラルハイ」というイベントの行われたあるワークショップです。この日、この本の著者、坂本さんは道路に轢かれていたというハクビシンを解体し皮をはぐ実演をしていました。匂いの元となっている内蔵を川でとりだしたものの、をの血生臭い匂いはしばらく記憶に残るほど強烈でした。けれども丁寧に動物を扱いつつ手際よく作業をすすめる姿に時間を忘れて見入ってしまいました。その立ち居振る舞いや外見から別世界の人と感じていたのですが、ワークショップ後に話したときの“普通の人感”がすごく印象的でした。そんなギャップのせいか帰ってからも気になり、山伏と坂本さん自体に興味が沸きこの本を購入しました。

不思議な着物を着てほら貝を吹いて山で修行をする・・・。“山伏”に対しては、そんな得体のしれないイメージしかなかったのですが、それは5年前の坂本さんも一緒でした。ほとんど思いつきで山伏の体験修行に参加したそうで、その様子が謙虚に淡々と語られています。密閉されたお堂で唐辛子や薬草をを燻す南蛮燻しでは、気絶寸前に追い込まれたり、瀧打ちにはまり高熱をだしたエピソードが披露され、情けなさいと思いつつますます好感がもてます。その後、彼が本格的な山伏の修行に参加し、本物の山伏なっていう過程が描かれています。

山伏の中には、長年山にこもり、他人に否定的になってしまう人も多いのだそう。けれども坂本さんの日常は、本業のイラストレーターの仕事をこなし野菜を育て、週末には友人とバカ話をする毎日を過ごしていという。「かつての人たちと同じように自然と向き合い、毎日の生活の中でそのままの自分を生きる」それが彼にとっての山伏であると語っています。私が最初にあった時に感じた、いい意味での普通の人らしさはこの考えからくるものなのだなと。都内で公演やワークショップをやっているそうなので、機会があればぜひ。

山伏と僕
坂本 大三郎
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