Cross-Checkを改造してベルトドライブにしてみた。【その2 部品を手に入れて、組み立てる】

Gates社のCarbon Drive Systemには、いくつかの種類がある。今回、僕が選んだのは、CDX CenterTrackというもっとも新しいタイプの製品だ。センタートラックという名前が示すように、ベルトのギザギザ(歯)の中央にスリットがあって、スプロケット(ギア)もそれに合うかたちをしている。

これがそのベルト。

ベルトには長さがあって、僕のフレームとスプロケット(ギア)の組み合わせだと、たぶん下から二番目に短い115T(歯)が適してるだろうと予想した。前出の米国のサイクリストDougさんのBeltCheckのフロントスプロケット(50T)は僕の選んだもの(46T)よりよりも大きいのだが、その彼が118なのだから僕はそのひとつ下を選べばいいだろうという判断だ。

スプロケット↓は、前が5アーム 130mm BCD用の46T。

後ろ↓はShimano Nexus/Alfine用の24T。

ベルトとスプロケットは米国のUniversal Cyclesという自転車通販サイトから購入した。
ベルトが69ドル、フロントスプロケットが64ドル、リアスプロケットが84ドル、送料は41ドルだった。

もうひとつ買わないといけないものがあった。

今回のこの個人的プロジェクトには、Shimanoの内装ギアハブの最上位機種「Alfine 11」はどのくらいイイのかを確認したいという裏の目的もあった。もっとも進化したコミュータードライブトレインの組み合わせがどんなものか体験してみたかったのだ。

ちなみに現状では、ベルトドライブで多段変速にしようと思ったら、内装ギアハブを選択する以外に方法がない。ということも書いておくべきだろう。チェーンでは一般的な変速機であるディレイラーはベルトドライブではまったく使うことができない。

なので、Alfine 11(SG-S700-S)も購入(サイクルベースあさひで37,102円)。併せて専用のシフトレバー(SL-S700-S 5,380円)、SM-S700 内装11段用カセットジョイントセット(928円)を購入。

さらに、Cross Checkのドロップエンド形状はセミホリゾンタルエンドで、水平に近いのでストレートエンド用の回り止めワッシャー 5R(右用・イエロー)、5L(左用・ブラウン)を追加購入した(各400円弱)。

 

組み立ての難関はAlfineとチェーンライン

というわけでだいたい部品が揃った。いよいよ、改造したフレームにCarbon Driveを組みつけてみる。

ベルトを通すのは別に難しいことはなにもない。むしろいちばん手こずったのはAlfine 11にCarbon Driveのリアスプロケットを装着する部分だ。これはCarbon Driveとは特に関係はない。チェーン用のギアを装着するとしても同じで、ギア板を固定するために金属製のリングを嵌めるのだが、これがうんざりするほどうまくいかない。
以前にも僕はSturmey Archerの5速の内装ギアハブを使ったことがあるのだけど、Sturmey Archerでもやっぱり同様の金属リングが使われていて、これを嵌めるのに苦労した。これに困っている人は万国にいるらしく、検索すると掲示板で外人が、手を血だらけにしちゃったよとか書いてたりする。
結局SturmeyArcherのときもAlfine 11も、僕は自分では嵌められず、妻(手先が器用)に嵌めてもらうことになった。

ボトムブラケット(BB)の軸長もあらかじめ考えておく必要がある。

ベルトドライブはチェーンよりチェーンライン(ここではベルトラインというべきか)にセンシティブだからだ。

Alfine 11のチェーンラインはスペックシートでは41.8mmと書かれている。
一方、今回使ったクランク Sugino RD2はチェーンホイールをシングルで使う場合、BBを短い103mmにしたとしてもチェーンラインは45.0mmになる。

つまり、この組み合わせではベルトがやや斜めになってしまう。が、結果的にはこれでもとくに問題なく使えている。これくらいのズレは許容範囲なのか?

本気でチェーンラインを合わせるなら、110mmか113mmのBBにして、クランクの外側じゃなくて内側にフロントスプロケットを装着する方法がある。
ただしこれをやると、スプロケットの歯数によってはチェーンステイとスプロケットとの間のスキマがギリギリか完全に干渉してしまう可能性がある。ベルトはチェーンよりも幅があるので、スプロケットにも厚みがあって、結果、普通のフレームだとクリアランスが足りなくなるのだ。
僕は手持ちの110mmで内側に装着して試してみたが、スキマは1mm程度。これではトルクがかかったときにフレームをコスる可能性があるし、ルックスもイマイチになってしまうので、やめた。

とはいえ103mmより短いBBは見つけられなかったので、103mmで妥協することにした。いまのところ問題は出ていない。

 

 

ベルトにテンションをかけるという難題

組み立ての過程で最後に残っている課題は、ベルトにテンションをかけることだ。ベルトドライブはチェーンよりもはるかに強いテンションをかけないといけない。ユルユルだと歯飛びしてしまったり、ちからの伝導効率が悪くなるのだろう。

Gates社のCarbon Driveでは、自転車の車種に合わせて適正なテンションを指定しているのだが、このテンションを計るやり方が面白い。ギターの弦チューニングみたいにベルトをビーーンッとはじいて、その音をGates社がリリースしている専用のiPhoneアプリで計測するのだ。
(※ほかのやり方もあるが、これがいちばん手軽だ)

今回のように内装ギアハブを使っている場合は、45Hz~55Hzの音が出るテンションに設定する。ちなみにMTBやシングルスピードの場合は65Hz~85Hz。タンデムの場合は60~65Hzとなっている。

しかし。
ストレートエンドのフレームなら、チェーン引きを付ければ微妙なテンションの調整も簡単だと思うのだが、チェーン引きを付けられないCross-Checkの場合は、かなり特殊なやり方を工夫しないといけない。
僕の場合は、屋外で、ヘッドチューブを長い丈夫な紐で門柱などに結び付けておいて、リアハブの車軸の左右を手で後ろにぐぐぐーっと引っ張りながらレンチでナットを締める。とはいえ左右同時には絞められないので、当然車輪が傾く。左をぐっと引っ張って先に締めて、そのあと車輪の傾きを直すようにしながら右を締めるのがいいのか。逆がいいのか。まだ具合のいいやり方が見出せていない。

しかも適正なテンションになっているかどうかは「勘だのみ」なので、何回も何回もトライアンドエラーを繰り返して、適正に近づけるしかない。やってるうちに気が狂いそうになり、しかも屋外でやるので、通行人からかなり変人に見られてしまう。僕がいったいなにをやってるのか、かなり自転車好きの人でも気がつかないだろう。

また、ナットを締めたあとでも、クランクがどの位置にあるかよってベルトのテンションにかなり誤差があるのが困る。テンションが高くなる位置と、低くなる位置があって、プラスマイナス15Hzくらいの差が出る。Gates社のマニュアルでは平均を取れと言っている。

ところで僕のケースでは、あまりテンションをかけすぎると(65Hz以上とか)Alfine 11が、調整されてないディレイラーに似たようなカチカチ音を出すなど、不具合が出た。なぜテンションが高いとAlfine 11がうまく動かないのかは未確認で分からない。

これで、ベルトドライブに関連する主要なところはほぼ説明できたかと思う。それ以外の部分は普通のチェーンの自転車を組むのと同じだ。
出来上がりは、こんな感じだ。


これが完成したのが2012年7月の上旬。その後3ヶ月ほどほぼ毎日乗って来たのでそこで得られた感想を次に書くつもりだ。

【第3回 3か月後のインプレッション】へ続く