忘れらんねえよが好きなんだ

好きなんです、忘れらんねえよ。
ファースト・アルバム『忘れらんねえよ』の発売を3月7日に控え、様々な媒体が取り上げて一躍時の人となっている彼らのことが、とにかく愛おしくてたまらないのです。

忘れらんねえよは昨年8月にシングル“CからはじまるABC”でメジャーデビューを果たした3人組バンド。〈NO SEX NO CHILD〉を活動テーマに掲げ、己のことを〈くそバンド〉と蔑み、放つ言葉は大体〈SEX〉。メンバー全員が男前なのに、見れば見るほどそれぞれに何かが変。さらにフロントマンの柴田隆浩は30歳にして童貞であることを公言し、恍惚の表情を浮かべながら高校時代に付き合って速攻フラれた彼女への想いを滔々と語る。
初めて観た時はアクの強さに圧倒されるばかりだったのですが、その日を境にちょっとずつ彼らのことを考える時間が増え、何やかんやあって現在のどっぷり具合に至るわけです。

何よりも素晴らしいのが、楽曲の数々。
歌詞のことはひとまず置いておくとして、味わい深いグッド・メロディーは彼らの飛び道具的な側面に眉を顰めるご婦人方の心をも溶かしてしまうこと間違いなし。またアレンジも、リビドーの赴くままにただ突っ走っている風を装いながらも、実は冷静な目線で肉付けしていったんだなと思わせるもの。
特に、梅津拓也のベースラインが秀逸。ステージ上ではやたらめったら動き回っているため、アグレッシヴな一挙手一投足にばかり目がいってしまうのですが、後々反芻した時にパッと蘇ってくるのは主にベース音だったりするのです。

そこに乗っかる歌詞は「毎晩あなたでオナニーばっかしてる」「渋谷の飲み屋でボコボコにされた」など、悲哀に溢れたモチーフなのにどこかキャッチーさが潜んでいるもの。チャップリンの言葉、〈人生はクローズアップで見れば悲劇。ロングショットで見れば喜劇〉を噛みしめずにはいられません。
この妙ちくりんなバランス感覚こそ、彼らの魅力を支える屋台骨になっているのではないのかなと思います。

3月以降ライヴが目白押しですので、まずはご高覧を。(林 知佳子)

http://wasureranneyo.com/