羊の木

今年もっとも怖かった一冊がこちら。山上たつひこ原作&いがらしみきお作画というまさかのタッグによる本気の田舎モダン・サスペンス「羊の木」です。

舞台は日本海沿岸のひなびた地方都市。行政は流出した人口を補うべく刑期を終えた元犯罪者の受け入れを断行し、窃盗・傷害・詐欺・放火、はたまた強盗・強姦・殺人・死体遺棄など、さまざまな業を背負った11人がひっそりと町で生活をはじめます。もちろん市民に事実は伏せられたままで、彼らの来歴を知るのは受け入れに携わった一部の関係者のみ。刑務所を出てもなおドス黒いものを抱え続けた人々(全員、顔の味がすごい)は、停滞しきったド田舎のヌルい暮らし(まずそうなラーメン屋の描写がすごい)をズルズルと狂気へひきずりこんでいきます。

元犯罪者や住民たちの内面をごそっとエグる心理の書き方と、土地のにおいまで封じ込める丹念な生活の描き方があいまって、切実さのあまり読み進めるほどに胃がキリキリとしめつけられるような感覚に。原作はすでに完成しているそうなのですが、今のところストーリーの先に救いはまったく見出せず……。次巻はおそらくさらに怖い!
(高橋聡太) 

羊の木(1) (イブニングKC)
いがらし みきお 山上 たつひこ
4063523837