ケイリン・コミューターを作ってみた

NJS規格(ケイリンの規格)のピストフレームに内装ギアハブをインストールして、ケイリン・コミューターを作ってみた。自分ではけっこう面白いものができたと思うので、メモを残しておくことにする。
(というわけで以下は完全に趣味の世界なので、ご了承ください)
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固定ギアはキツそうだけど、NJSのフレームに乗ってみたいとずっと思っていた。
そのような場合通常は、じゃあ固定ギアじゃなくて(変速なしのママチャリのような)フリーハブのシングルギアにすればよいのでは、という話になるのだが、
地元で「地獄坂」と呼ばれる坂の上に住んでいる僕の場合はそれでも辛そうで二の足を踏んでいた。
そんなときにSturmey-Archerというメーカーがいろんな仕様の内装ギアハブを出してることを知った。内装ギアハブというのは、ママチャリとか無印の自転車なんかにもよく使われているタイプの変速機で、外に出ているギア(スプロケット)は1枚しかないのに、3段とかの変速ができるようにできている。ハブ(車輪の中心部分)の中にギッシリと(←たぶん)ギアが詰まっているのだ。
Sturmey-Archerは2段変速から8段変速までの内装ギアをラインナップしていて、NJSフレームで一般的な120mmリア幅にうまくはまる寸法のものもある。しかもサムシフターと呼ばれる昔のMTBなんかで使われてた変速レバーが選べるのもよかった。
Sturmey-Archer S-RF5(W) という5段変速のモデルを使うことにした。
ちなみに、Sturmey-Archerには固定ギアの3段変速というピスト仕様のモデルもあるが(しかもカラーバリエーションもある)、固定ギアはやっぱりキツそうなので、弱気な選択になった。

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僕は英国のPlatical Cyclesというショップから通販で買ったのだが、買った後でSturmey-Archerの日本代理店ができたことを知った。なのでいまは日本でも買えるんじゃないだろうか。
このSturmey-Archer S-RF5(W)を持ち込んで、近所の小さなショップでホイールを組んでもらった。リムはARAYA RC-540。

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フレームは、岡山市の下森製作所というビルダーが作っている、PELOTON(プロトン)の中古をヤフオクで入手した。NJS規格品。

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クランクはSUGINO RD2。チェーンホイール(前ギア)もSUGINOの130J-44T 1/8(厚歯)。BBはフレームについていたSHIMANO BB-7600をそのまま使った。

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ステムはNITTO Perl 80mm。ハンドルバーはNITTOのオールラウンダーバーB258AA。シフターはSturmey-Archerの5段変速用サムシフター。

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8段変速用のサムシフターがあるなら、内装ギアも8段変速のモデルを選びたいところだったのだけど、サムシフターは3段用と5段用しかラインナップしていない。残念。
後ギアは19T。
IZUMIの厚歯チェーンを装着して、Sturmey-Archer S-RF5(W)をハブナットで固定しようと思ったら、ちょっとしたトラブルが。
僕が買ったS-RF5(W)は、本体以外に取り付けてケーブルを張るのに必要な部品一式が付いたキットになっていたのだが、そこに入っていた左側用のハブナットの長さがちょっと足りないのだ。頭が開いていないいわゆる袋ナットなので、長さが足りないとハブがしっかり固定できない。
しょうがないので、普通のピスト用のハブナットを買ってきたら、これが微妙にSturmey-Archer S-RF5(W)の車軸にハマらない。
スペックを調べたら、Sturmey-Archer S-RF5(W)の車軸はインチ規格で、直径が13/32インチ = 10.319mm なのだ。通常のリアのハブナットは10mmなので、0.3mm違う。溝のステップも違うのかもしれない。適合するナットが簡単には手に入らなそうだったので、とりあえず、ホームセンターで内径が11mmくらいのワッシャーを何枚か買ってきて、それを挟んでしのいでいる。
(近日中に適合するナットを手に入れたい)

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Sturmey-Archer S-RF5(W)にシフターケーブルをつなぐとこんなふうになる。

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ギアハブの軸の中に、インジケーターロッド(indicator rod)という部品をねじ込んで、逆の末端にワイヤーをつなぐ。
このインジケーターロッドには細かく種類があって部品の組み合わせと適合するものを選ばないといけない。僕の場合は、Mark Yellow HSA585 というもの。ロッドと細いチェーン状の部分との間に黄色い印が付いている。
このケーブルの調整にちょっと戸惑った。
シフターを5速にしたときに、ケーブルのテンションが若干ユルユルになるぐらいの状態にする。で、シフターをシフトダウン(ワイヤーは引っ張られる)していくと、インジケーターロッドが1段づつ引っ張り出されてきて、シフターを2速にしたときに、インジケーターロッドの印(黄色)が右側ハブナットの先端とちょうど同じ位置に来ればだいたい正しいらしい(これはS-RF5の場合。他のモデルの場合は知らない)。

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ブレーキは公道ピスト用の定番になっているDIA-COMPE BRS101。
ブレーキレバーはシンプルなTEKTRO FL750

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といったわけで、こんなケイリン・コミューターが組み上がった。
(この写真↓ではチェーンのテンションがちょっと緩かった。。)
サドルはド定番のsan marco CONCOR SUPERCORSA
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1週間ほど駅の往復に使ってみた時点で、いくつかの問題点が持ち上がっている。
シフターが2速以上にしようとするとけっこう重たいのと、ギアによって微妙にカチカチ音がすること。調整で解消するのか、どうしたってこんなものなのか、よくわからない。
そして、ギアハブとシフトケーブルを繋いでいる部品が横に出っ張っているために、右足の踵と微妙に干渉するのがいちばんの問題だ。出っ張りが少なくなる(ロープロファイルな)部品もあるようなので、交換した方がいいかも知れない。

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とは言え、NJSフレームは思ったよりずっとフツーな乗り心地だし、ギアハブは自重が1㎏以上あるのだけど意外と軽いし、もう少しチューニングすればなかなか快適なコミューターになるかもと実感できた。
このケイリン・コミューター=内装ギア化ピストという手法は、古いフレームのコンバージョンにけっこう使えるんじゃないだろうか。
というかむしろ、内装ギアハブを使うならピストのようなリアエンド形状(正爪)や、古いロードバイクに使われた逆爪のホリゾンタル・ドロップアウト(カンパニョーロエンド)の方が適している。ハブを前後に動かしてチェーンのテンションを調整できるから。
今回はリアエンド幅が120mmだったのでSturmey-Archerを使ったが、リアエンド135mmのMTBフレームなどの場合は、SHIMANOの最新のAlfineギアハブが使える。
古いMTBには逆爪のホリゾンタル・ドロップアウトのものがあるので、ぜひ中古を入手して内装ギアハブ化してみたいと思っている。