第8回 アルクメデス

ニュアンスを伝えるのが難しいのだけど、「盛り上げない笑い」とでも呼ぶべきジャンルがある。「盛り上がらない」ではなくて「盛り上げない」。

ほとんどのバラエティが、「面白いでしょ?面白いでしょ?」と面白さをガンガン突きつけてくる「盛り上げようとする笑い」にある中、なぜかNHKは積極的に「盛り上げない笑い」に挑戦し続けている。そのひとつが『サラリーマンNEO』なのだが、この夏から始まったNHKの『アルクメデス』もその流れに位置するバラエティだ。
(写真はレギュラーコーナーの1つ「ベストヒットUSO」より)
番組はいちおう「クイズバラエティ」という形式を取っている。と言ってもクイズに答えるのが目的ではなく、クイズという形式を使って小ネタやらコントやら面白映像やらパロディをやってる、というほうが正確かもしれない。
第一回の冒頭で、メインキャラクターであるアルクメデスが登場し、ごにゃごにゃ言いながら哲学的に自問自答する。で、「私のシメイは何なのか…っ!」とつぶやいたあと、このテロップ。
「プラトンやソクラテス同様、アルクメデスというのが全体の名前。氏名はない。」
これはたくさんあるパターンの1つに過ぎないけど、まあこんなノリでいろんなクイズコーナーが30分の中に詰め込まれている。
クイズの答えがオチになっているのもあるけれど、個人的にはあちこちに散りばめられているパロディがとにかく秀逸だと思う。たとえば「キューサンヌーボ」での、ものすごくどうでもいい女同士の会話感。間の取り方、相づち、話の転換の仕方など、すべてが完璧に本家「グータンヌーボ」のどうでもよさを模倣している。
80年代の洋楽ファンなら絶対に見逃せないコーナーが「ベストヒットUSO」。冒頭で小林克也似の司会者がクリソツな(あえて80年代風)発音で「ベスト・ヒット・ウソ!」とコールする場面は何回見てもやばい。毎回ゲストを迎えるわけだが、どんなゲストが出てくるのかは冒頭の写真を見てもらえば大体わかると思う。
正直、誰にでもわかるという内容のバラエティではないのだが、元ネタをたくさん知ってるようなタイプの人(まあ30代以上だろう)には特におすすめしたい、隠れたおもしろ番組である。
arukume.jpg
毎週木曜日24:15~
NHK総合にて放送中
まえだ・たかひろ●たまにDOMMUNEを見ると、ものすごい傑作回のトーク番組に当たったりするのだが、あれは出演者もさることながら、「2時間ずっと生でしゃべりっぱなし」という放送状況によるところがとても大きいんじゃないかなー。