「ASAYAN」出身、石井ゆき

 中山エミリ結婚かあ……正直なんも思い入れはないけど、とりあえずおめでとう!などと心中でつぶやきつつ、彼女が長いこと司会を務めていた「ASAYAN」について、いろいろと思いを巡らせておりました。
 「ASAYAN」……まあ言わずと知れた存在でしょうが一応説明すると、90年代後半から2000年代アタマにかけて、テレビ東京で放送されていたバラエティー・タッチのオーディション番組であります。CHEMISTRY、モーニング娘。、鈴木亜美、現EXILEのATSUSHIとNESMITHあたりが出身者の筆頭組ですかね。アーティスト以外のオーディション企画もいろいろと立ちあげていて、池脇千鶴なんかもここからデビューしたはず。しかし、こうやって改めて書いてみると、やっぱ功績のデカい番組ですな。いま挙げた方々はみんな現在も第一線で活躍してますしね。

  とは言え、もちろん大きく成功したアーティストばかりというわけもなく。デビューのきっかけは掴んだものの、上手いこと波に乗り切れずにフェイドアウトしていった人もいるわけです。そのなかのひとり(失礼ながら)が、今回紹介する石井ゆきさんであります。

  彼女は同番組のオーディションを経て、m.c.A・Tこと富樫明生の全面プロデュースによりソロ・デビュー(この辺の経緯は「ASAYAN」公式サイトにてばっちりまとめられてます。余談ですが、このサイトはいまだに掲示板が活発に動いてるのがすごい)。3枚のシングルを経て98年にリリースされたのが、冒頭にジャケを挙げたファースト・アルバム『Fantastic Voyage』です。この時、弱冠14歳。

 アーメン・ビートを使った本格ドラムンベースな導入曲”Lovin’ You”、サビの浮遊感が素敵な、これまたドラムン歌謡の表題曲、ジャクソン5的な軽やかソウル”Uki Uki Baby”、エレクトロ・ファンクな音色がいま聴くとジャストにフィットする”Baby Cool!”、切なメロウなミッド・チューン”Love Under The Moon”などなど、ダンス・ミュージックに寄り添いつつキュートでかわいらしい趣きの楽曲が詰まっており、なかなかに良いアルバムなのです。

 ……ただ正直に言うと、非常にもどかしさを感じてしまう盤ではあるんすよねえ。どの曲もイントロではすごい盛り上がるんですけど、聴き進めていくと、微妙な失速を感じてしまうのです。大名曲になり損ねて良い曲止まりって印象を受けてしまって。おそらく、純ダンス・ミュージック的なサウンドと、歌謡曲スタイルの段取りを踏む曲構成&童謡ばりに大らかなメロディーとの食い合わせがあまりよろしくないのかな~と。

 とは言え良作であることは間違いないし、98年の時代感が色濃く出たポップなジャケットは最高だし、個人的には愛すべき一枚なのです。↓はタイトル曲の「ASAYAN」スタジオ・ライヴ映像。

石井ゆき”Fantastic Voyage”

 A・T氏のバックアップはこのアルバムまでだったようで、その後にリリースされた4枚目のシングル”デンワしてダーリン”では作家陣が一新。で!本作こそ私的フェイヴァリットな素晴らしい一枚なのであります。これもジャケが好みなんでデカめに掲載。みずからスキャニング。20100423_ishii.jpg

 その図太いブレイクビーツを敷いたタイトル曲がこちら↓。アレンジは元オリジナル・ラヴのキハラ龍太郎氏です。

石井ゆき”デンワしてダーリン”

 いや~いい曲! でもってカップリングの”夏の未来”も素晴らしい。こちらはホーンの効いた柑橘系スウェディッシュ・ポップとなっております。

  彼女はこの後もいくつかシングルを出してるんですが、それらをアルバムにまとめることなく、活動を終えてしまったようです。この末期のシングルは聴いたことがないのですごい気になるんですが……ヤフオクしかないですかねえ。いやはや、短冊シングルがほんと買いにくいご時世になってしまいました。