最先端技術を駆使してユニークなサービスを実現するチームラボの最新作が『スケッチピストン』。代表・猪子さんの才気走るトークをどうぞ。
テキスト:川崎和哉(Spoo! inc.)
「2007年に、ケータイの新しいコンセプトを考えるau design projectっていうのがあって、それに参加したんだけど、プロダクトのデザインとかってもう別にいいじゃないですか。どうせほとんど画面になるわけだし。iPhoneとかも画面のかたまりでしょ。だからインターフェイスを革新することが、イコール、プロダクトを進化させることだと思ってて。で、ケータイは毎日使うものなので、使うという行為に別の価値を与えようと。それで2種類のインターフェイスを発表した。
1個はRHYTHMっていうので、それはボタンを押す行為を勝手にリズムを打っていると見なして、そのリズムにあわせてインターフェイスをうごめかそう、みたいなの。もうひとつは毎日使っていることを勝手にプレイしているということにして、インターフェイスがある種のゲームみたいになっている。自分の使い方で、ケータイの中の街が変わっていくっていうような。これやったときに思ったのが、インターフェイスはコンテンツになるんだ、ということで。
話飛ぶんだけど、別件でタッチパネルのケータイの新しいインターフェイス考えてくれみたいな依頼があって。色々ディスカッションしてたときにエンジニアが、すごい実験的な、画面上でなにかを描いたらそれがモノになる、みたいなものをプロトタイピングしたことがあって。
でまあそういういくつかの文脈の中で実験的に、ウェブのインターフェイスそのものを思いっきりコンテンツにしてみよう!みたいなプロジェクトが始まって。たまたまそんなときに、都市開発会社のコーポレートサイトの制作依頼が来た。で、どうせだったらとりあえずサイト面白くしてしまったほうが話題になるんじゃないかと(笑)。それで出来たのが『スケッチピストン』」
「デザインって、昔はプロがすごいクオリティのものを完成させて、それをみんなが鑑賞するっていうものだった。でも、ぶっちゃけそういうものって、情報化社会になって色々選択肢が増えたときに、ユーザからするとあんまり興味がなくて。多分これからのデザインっていうのは、ユーザが何かをしたら、もちろんその人はデザインのプロでもなんでもないけど、なぜかアウトプットがクオリティ高いものになるような。そういうプラットフォームをデザインすることが、これからのデザイナーの仕事だと思ってて。プリクラとかすごいよくできてる。わっけわかんない女子高生がやっても、ほとんど同じクオリティで出る。
意識してる会社ねえ……任天堂みたいになりたいですね。ちゃんとイノベーションが起こって、それによって世界中の人のライフスタイルが変わったり、わくわくされたり。アップルもそうですよね。うちももっとユーザと組んだり、世界中の人たちが、未来わくわくする、未来ヤバそう!って思えるようなものを出せる会社になりたいですね」
SKETCH PISTON ウェブ上に落書きするとそれが動き出す。タナカカツキや日テレのダベアともコラボ。
◆プロフィール:猪子寿之
テクノロジー、アート、デザインの境界線をあいまいにしながら、デジタル領域で活動。iza(Web of the year 06 新人賞)、au Design project actface(文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品)、「然」(アジアデジタルアート大賞)など。