「無料」が加速する「ファスト・カルチャー」とは?

<div><font style=”font-size: 0.8em;”>※これはある日のスプーのオフィスでの与太話を文字化したもの。話題は無料コンテンツ、有料コンテンツ、Kindle、そして「無料」がもたらしてるネガティブな側面。基本、その場のノリで話しているので、思い込みなどかなりあると思われますのでその前提で。</font></div><div><br /></div><div><b>川崎</b> Tech Waveの記事「<a href=”http://techwave.jp/archives/51380640.html”>米Newsday紙、有料化でなんと35人読者ゲット!</a>」がTwitterでいっぱいRTされてたね。米国ロングアイランドの地元紙が有料化したら3ヶ月で会員が35人しかいなかったっていう話。。それに比べたら『<a href=”http://tvbros.jp/”>モバイルブロス</a>』(弊社で編集・サイト運用をやってる有料ケータイサイト)はビッグメディアだね。</div><div><br /></div><div><b>前田</b> 最近ではニューヨークタイムズの有料化の話がありましたね。フィナンシャルタイムズとかもそうですけど、クオリティペーパーだったら有料という方向性もあるんじゃないですか。日本にクオリティペーパーは存在するのか?って疑問はありますけど。</div><div><br /></div>

<div> 速報レベルのニュースはネットにいくらでもあってプレミア感はないからフリーになるしかないと思うんですが、評論的な連載やルポルタージュまで含めると有料の余地もあるんじゃないですかね。日本の新聞でも、紙で連載してる良質のルポルタージュで、webに上げてないものは結構あると思うんです。それがアーカイブされずに消えていくのはもったいない。</div><div><div><br /></div><div><b>川崎</b> じゃあ、日本の出版物でもまだ有料の余地があると?</div><div><br /></div><div><b>前田</b> 週刊東洋経済のような特集系週刊誌とか月刊のオピニオン誌みたいに1本あたりの記事の尺が長いものなら、僕は金払って買うと思いますね。</div><div><br /></div><div> ていうか、その手の読み手を選ぶコンテンツって、仮にWebで無料公開しても劇的効果がないタイプのコンテンツだと思うんですよ。フリーだからといって読まれるものじゃない。逆にそれを読む人は有料だとしても読む。そういうものは有料でビジネスする余地があるし、Kindleみたいな電子書籍端末に向いてるんじゃないですかね。</div><div><br /></div><div> Webって、僕は長尺のテキストに適してないと思うんです。机でPCの画面に向かってじっと読むのってけっこうつらい。本みたいにどこにでも持って歩いて読めないと無理がある。その意味では、KindleやiPhoneやタブレットで、有料で配信というモデルはアリだと思うんです。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> 電子書籍端末は想定できる読者が本とほとんど同じだよね。いままでお金払って本を読んでた人は、その一部が電子書籍に流れるかも知れない。個人的にはあんまりワクワクしないけど、僕も場所を取らないという意味で電子書籍が普及すれば本の代替品として買うだろうとは思う。</div><div> でも、本を売る側としては印刷製本流通のコストが大幅に削減できるというのがメリットだけど、それ以外の面白いことってある?</div><div><br /></div><div><b>前田</b> Kindleで自費出版できるサービス(Kindle Digital Text Platform)とかは、書き手が間に出版社を挟まずに、出版できるということがひとつありますよね。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> 逆に僕らみたいなディレクター/編集者が新書レーベルを立ち上げるとかも簡単にできるんだよね。</div><div><br /></div><div><b>前田</b> あるいは、書き手と編集者がTwitterで出会ってチョクでコラボみたいなのもあり得るでしょうね。仮に文章が面白いネットの書き手がいたとしても、ブログと書籍ってまず構成そのものが違うし、あと新書みたいなコンテンツって、売れるかどうかはタイトル次第みたいなところあるじゃないですか。まさに編集者の腕の見せ所で。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> 書き手側は、そういう優れた編集者と組むか、自分のブログのエントリー――つまりそれこそ「フリー」のコンテンツで人気を獲得して、その人気を使って有料の電子書籍を売る、っていう構図かな。</div><div><br /></div><div> 書籍っていうのは、ビジネスとしてどうかは別にして、存在理由がまだあると思うんだけど、エンタメ系の雑誌はほんと大変だよね。実際去年も休刊ラッシュだったし、今年もそれが続いてる感じなんでしょ?</div><div><br /></div><div><b>前田</b> 実話系雑誌とかラーメン情報誌とかは、有料って難しそうですね。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> ナップスターみたいな雑誌読み放題の有料モデルならありなのかな。でもそれも限りなくフリーに近いところにあるハンパにフリーじゃないものってことになってダメダメか?</div><div><br /></div><div>(ここで原田が参加)</div><div><br /></div><div><b>原田</b> 無料で社会の階層化が一層進むとおれは思いますね。あえてこの言葉を使えば、下流は無料、上流は有料みたいな。</div><div> いや、実際に金のあるなしじゃないですよ。何に満足するかっていう知識欲、知的好奇心の問題。エロ動画だってYourFileHostとTUBE8でしか見ない奴と、DVD買ったりDMMで有料VODで見る奴に分化する。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> 知識欲がある人は無料も有料も使いこなしてどんどん掘ったり拡げたりしていけるけど、無料で満足しちゃう人はそこから先に行かない。そういう格差がどんどん広がっていく可能性があると?</div><div><br /></div><div><b>原田</b> こういう二分化はコンテンツの消費に関わってくるでしょう。</div><div><br /></div><div><b>前田</b> この年代ではこれくらいの知識は持っとけ、みたいな基礎教養のコモンセンスが崩壊しちゃってる気はしますね。サブカルチャーでも、これぐらいは知っておかないといけないというコモンセンスがあったと思うんですけど、それがもう崩壊している。ほんっとに何も知らなくて、話の土台が共有できない。そのせいで、大衆文化のレベルが下がってくんじゃないかという気がする。</div><div><br /></div><div> 基礎教養ってのは別に難しいことを言ってるわけじゃなくて、たとえば90年代の「とんねるずのみなさんのおかげです」で、よく石橋がライオネル・リッチーのモノマネをしてたでしょう? つまり、あの時代には「若い奴はだいたいライオネル・リッチーを知ってる」ってのが暗黙の前提であったわけですよ。マイケルのPVのパロディなんかもそう。「当たり前に知ってる」って前提がないとパロディすら成り立たない。</div><div><br /></div><div><b>原田</b> 無料が当たり前の世代はとにかく話題になりやすいものに引っ張られて好奇心が育つ暇がないんじゃないですか。</div><div> 歴史観のない人、歴史に興味がない人が増えてる気がする。だからアーカイブが強みにならない。着うたみたいに、「いま」何がヒットしてるかだけで回していかないといけなくなっている。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> 過去のコンテンツに対する興味やリスペクトがないってこと?</div><div><br /></div><div><b>原田</b> ライオネル・リッチーもヴェルヴェット・アンダーグラウンドも一緒なんですよ。「昔のものだよねー」ってことで一括で興味がない。</div><div><br /></div><div><b>前田</b&g
t; サブカルチャーの基礎教養と言えば、やっぱりビートルズだと思うんですよ。僕はもちろんビートルズをリアルタイムで経験した世代じゃないけど、高校・大学くらいになると自然に「ビートルズくらい聴かないとな」という空気になってた。マニアってレベルじゃなく、ごく普通の音楽好きレベルの話で。今はビートルズの楽曲って、いちいちCD買わなくてもYouTubeでかなりの部分無料で聴けるはずなんだけど、じゃあ若い世代がそれでビートルズ聴くのかっていうと、そういうことにはならないと思うんですよね。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> ビートルズと言えば、だいぶ前に原田が教えてくれたコピペがあって、それがよく出来てて面白かった。</div><div><br /></div><div></div><div><blockquote style=”border-style: none; border-width: 0px; margin: 0px 0px 0px 40px; padding: 0px; font-size: 1em; font-weight: normal; background-repeat: repeat-y;”>車の中でGReeeeNやEXILEかけまくって盛り上がってたんだけど、&nbsp;<div>何か一人がビートルズの青い2枚組みのやつ持ってきてて「何これ?かけてみよう」ってことになった。&nbsp;</div><div>で、かけてみて、みんなで大笑い。&nbsp;</div><div>「やめろ~!テンション下がる~!」&nbsp;</div><div>「消せよ!吐き気する!オヤジくせ~!」&nbsp;</div><div>「まあ、おもしれーからかけておこうぜ」ってずっとかけてたんだけど&nbsp;</div><div>とにかく次の曲が出てくるたび、あまりのヘボさにみんな大爆笑。&nbsp;</div><div>そのビートルズの持って来てたやつは一人居心地悪そうにひきつった笑いしてた。&nbsp;</div><div>で、ようやく次に湘南乃風かけたんだけど、もう最高に盛り上がった。&nbsp;</div><div>やっぱこれだよな~って思ったな。&nbsp;</div><div>帰りに、半分冗談でビートルズのやつ持って&nbsp;</div><div>「これ、窓から捨てていい?」って言ってまた大爆笑。&nbsp;</div><div>可哀想だからやめといたけど。&nbsp;</div></blockquote></div><div><br /></div><div> これはリアルだよ。ネタかもしれないけど、いろんな意味で上手い。</div><div><br /></div><div><b>原田</b> ファスト・カルチャーなんですよ。</div><div> ファスト・フード、ファスト・ファッション、ファスト・カルチャー。無料コンテンツ、無料ゲーがファスト・カルチャーを加速するんですよ。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> ファスト・カルチャーっていいネーミングだな。</div><div><br /></div><div><b>原田</b> ネットでただで手に入れたコンテンツだけで満足してしまう。それだけでぜんぶわかった気になってしまう。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> ケータイの無料ゲームとかmixiアプリの無料ゲームとかは遠景として見る限りでは市場のルールを変えてて面白い部分もあるけどね。自動車の世界でタタモータースがやったようなことを、ゲームの世界でやってる。日本のゲームメーカーが何年もかかってしっかり作りこんだゲームに対して、別にこれでも充分遊べるじゃんっていうものを外国企業が作って投入してる。それは市場の新陳代謝としてみると面白い。</div><div> でも、それで満足する人ばかりになっちゃうと、ゲーム文化の豊かさは阻害されるかもしれない。とは言えじゃあ、そういう流れを止められるのかっていうと、難しい。。</div><div><br /></div><div><b>前田</b> さっき話題にのぼった文化デバイドみたいなことはKindleのような端末と電子書籍、あと「好奇心加速装置」としてのツイッターによってさらに広がるんじゃないですかね。一方にファスト・カルチャーがあり、その一方でコンテンツにお金を払う人がいて、その格差が広がっていく。金のあるなしというよりは、意識レベルの要素が強いかも。ファスト・カルチャーの人はそれをファスト・カルチャーだと気づかずに、たぶんカルチャーそのものだと思ってるだろうから。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> なんか暗い話になってきた。まあ、無料もスゴいが、無料だけでオッケーだと思うなよと。</div><div><br /></div><div><b>原田</b> なんすかそのいい加減なまとめ。</div><div><br /></div><div><b>川崎</b> 今日はこの辺で。</div><div><br /></div><div>※写真&nbsp;<a rel=”cc:attributionURL” href=”http://www.flickr.com/photos/dongkwan/”>http://www.flickr.com/photos/dongkwan/</a> / <a rel=”license” href=”http://creativecommons.org/licenses/by/2.0/”>CC BY 2.0</a></div><div><br /></div></div>