第2回 大相撲 幕内の全取組

深夜番組の魅力とは何か?
と聞かれたら俺はこう答える。「頭を使わずにぼんやり観ることができることだ」と。もちろん、答えは一つではないのだけど、これが大きな魅力の一つであることは間違いない。
「テレビなんて、そんな番組ばっかりじゃねえか」と思う人もいるかもしれない。でもね、本当にぼんやり観ることができる番組って意外と少ないんですよ。最近のバラエティなんて、すごくにぎやかな作りになってて、ちょっと面白い発言があったらすぐテロップでドーン!と強調するでしょう。本当に疲れてる状態だったら「深夜番組のくせにスタジオの照明がやたら明るい」ということでさえ、いちいち気に障る。
民放のバラエティにその傾向が強いんだけど、とにかく最近はアテンションが強い深夜番組が多い。こっちの目も冴えていれば別だけど、ぼんや~り・ぐった~りした深夜らしい状態で観るなら、もっとゆるい番組がいい。ゆるくて、それでいて飽きさせない番組。
そこで、大相撲ファンならずともおすすめしたい深夜番組が、NHK『大相撲 幕内の全取組』。もう番組名からしてアテンションが一切ない。事務的すぎる。番組内容はいちいち説明するまでもないのだけど、とにかく幕内の全取組を淡々と紹介していく、というもの。
大相撲の取組って、だいたい30秒もかからずに勝負がつくものだけど、これを生中継で観るとなると立ち会うまでのにらみ合いをずっと見続けることになる。大一番の取組はそっちの方が盛り上がるけど、正直ずっとそのペースで見続けるのは(大相撲ビギナーならなおのこと)飽きやすい。
ところが『大相撲 幕内の全取組』なら、その辺のやり取りはきちんと編集されているので「土俵入り→立ち会い」を1分程度のサイクルでテンポ良く観ることができる。これが深夜のぼんやりした頭に非常に心地良い! たまに際どい勝負の場面をスローモーションで再生するのもまた、ルーズな快楽を呼び起こすスパイスとなるというもの。
結論。多少大げさなのは承知の上で、あえてこう言わせてもらう。
『大相撲 幕内の全取組』は公共の電波で観られるバーチャルドラッグである」と。
『大相撲 幕内の全取組』
大相撲開催期間中の深夜、NHK総合にて放送中
(25:00頃と27:00頃の2回放送)
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(写真は初場所12日日、大関・日馬富士が横綱・白鵬をスピーディーな動きでいなした場面。今場所の優勝は朝青龍だろうが、そのカギとなったのはこの一番だと思う)
まえだ・たかひろ●『アバター』で3Dブームに沸く世間を尻目に、ちょうアナログな映画『ライブテープ』を観てきたのだが、予想以上のライブ感にボロ泣きしてしまった。週末に2回目を観に行く予定。もちろんサントラはヘビロテ中。