第1回 NHK土曜ドラマ


土曜ドラマは今もっとも信頼できる鉄板のドラマ枠である。
と言っても信じてもらえないかもしれない。ていうか、「土曜ドラマって何よ?『ごくせん』とか?」と思う人が大半だと思う。
ここで取り上げているのは2006年からスタート(正確には復活)したNHK土曜ドラマ。NHKのドラマと言えば、「大河」と「朝ドラ」が二大巨頭なのだが、土曜ドラマは歴史物でも爽やか物でもなく、現代社会をテーマにしたドラマ、言ってみれば「重いドラマ」ばかりやっているドラマ枠である。
作品単位で見ていけば、民放でも面白いドラマ・重厚なドラマは毎年制作されているけれど、「枠」としての信頼感・存在感を放っているのは土曜ドラマ以外にないだろう(月9はもうトレンディじゃないし、金8に金八はやってないしさ)。
ここまで書いたけど、作品何も観てない人には全然伝わらないと思うので、とりあえずの一本として、土曜ドラマ最大のヒット作『ハゲタカ』をおすすめしておく。DVDで出てますよ。
脚本も当然練られているのだけど、俺が土曜ドラマの特徴として挙げたいのは、とにかく「画に緊張感がある」ということ。『ハゲタカ』をはじめとするハードボイルド系の土曜ドラマは、何の予習もなしに観始めても、画の力でいきなり引き込まれてしまう、というものが多い。
ハードボイルド路線で言うと、つい最近最終回を迎えた渡部篤郎主演の『外事警察』もやばかった!
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警察の中でも特殊な任務を扱う公安警察。その公安警察の中でさらに特殊な任務、「テロリスト捜査のためのスパイ活動」を行なう外事警察を描いたドラマなのだが、毎回緊張感がすごかった。テロ対策と言っても、ジャック・バウアーみたいに単身アジトに突っ込むとか(*イメージ)ではなく、基本は諜報活動だから、とにかく騙し合いにつぐ騙し合い。知らず知らずのうちに呼吸を止めて画面を見てた瞬間がいくつかあった。これもじきにDVD化されるので、ぜひチェックしておくべき。たぶん何かの賞を取るんじゃないかな。
土曜ドラマがこれだけ名作ぞろいの割に大して人気がないのには理由があって、それは民放のような「キャスティング至上主義」を取っていないから。芸能ニュース見てればわかると思うけど、「新作ドラマの話題=主演女優・主演男優の話題」になってるでしょう。民放は「その人が出てるから」というだけで数字が見込めそうな俳優をぶっ込むけど、土曜ドラマではそういうことはしない。その役を演じきれる人をキャスティングする。
(本当はNHKのドラマ自体そうだと言いたいけど、大河ドラマはちょっとキャスティング先行の感がある)
だって、2006年の『魂萌え!』なんて主演が高畑淳子だよ!? 全3回とは言え、ゴールデンでの連続ドラマ、民放ではこのキャスティングはありえないだろう。
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(ちなみに高畑淳子の初主演作となったこの作品は、第24回ATP賞テレビグランプリ2007のドラマ部門最優秀賞を受賞し、後に映画化もされた)
ここまで書けば、冒頭の「土曜ドラマは今もっとも信頼できる鉄板のドラマ枠である」という言葉に少しくらいは納得してもらえるんじゃないかと思う。ドラマの好みは人ぞれぞれあるけど、少なくともグダグダで手抜きなドラマは一本もない、とは断言できる。
で、今週末からスタートする土曜ドラマがこれ。
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『君たちに明日はない』
1/16(土)21:00~
NHK総合にて放送(全6回)

村上真介(坂口憲二)の今回のクライアントは、東証一部上場の建材メーカー。200人の希望退職者がノルマだ。どんなに恨まれようと、殴られようと、真介は冷酷な面接で次々と面接相手を”希望退職”に誘導する。しかし、課長代理の芹沢陽子(田中美佐子)だけは、断固として退職を拒否する。仕事に一生懸命で気の強い年上の陽子に、真介は徐々に魅かれていく―――。(番組HPより)
まだ予告映像もアップされてないのだけど、「社員を希望退職に追い込んでいくリストラ面接官」という設定を聞いただけで、「そりゃいろいろドラマが起こらないはずはないよな」と思えるわけで。ちなみに脚本は最近売れっ子の宅間孝行。
【この連載では、「最近のテレビはつまらない」「テレビ観なくてもネットで十分」とか思ってる人にこそ勧めたい番組を取り上げていきます。ペースは謎。よろしくお願いします】
まえだ・たかひろテレビブロスのケータイサイト「モバイルブロス」の編集スタッフをしております。ガラパゴスケータイをお持ちの方はぜひ一度http://tvbros.jp/にアクセスしてみてください。本文で言い忘れましたが、タイトル横の画像は同じく土曜ドラマ『リミット 刑事の現場2』の武田鉄矢。怒りとか悲しみとか哀れみとか、とにかく顔面につまった情報量が多すぎる!