蒐集家の究極の姿、「エアコレクター」とは!? / pithecanthropus collectus(蒐集原人)

切手、レコード、ZIPPO、トレカなど様々な蒐集の道を極めてきた、知る人ぞ知るコレクターとみさわ昭仁さん。今回は「バカ本」を中心に聞いた。

インタビュー:原田星(Spoo! inc.
テキスト:川崎和哉(Spoo! inc.

 今回のインタビューはネット探偵団影のブレーン原田が担当。構成は川崎です。さて――。コレクターとしての業の深さと同時に、編集者的な距離感を感じさせるのが、とみさわさんのブログの面白さだと常々思っていた。

pc.jpg
pithecanthropus collectus(蒐集原人)
バカ本、レコードなど、とみさわさんの
蒐集活動の成果を絶妙の距離感で紹介。

 「そう言ってもらえるとうれしいです。ずーっと編集者にあこがれていたんですよ。コレクターってどうしてもこう、ぐわーっとモノに入っちゃうでしょう。それが昔から嫌で、一歩引いて『集めている自分すらおもしろがる』ようにしています。

 「だからブログ時代になったときに『これだーっ!』と。自分で編集者もやりつつ、コレクションを使って思うように誌面を作れるわけですから、楽しくてしょうがないですね」

 とみさわさんが紹介するバカ本は主にブックオフから発掘されてくる。

 「誰もが認めるレアな本だったら、ちゃんと古本屋さんで探すんでしょうけど、僕が買ってるのはそんなに古本としての価値はないものなので。それに、これが古本屋で300円、500円で並んでいても買いはしないですよ。ところがブックオフの100円コーナーに行くと『100円なら買ってもいいか』って思うじゃないですか。それでこう、ぐっと来るフレーズなんかを拾い出してみて、頭の中で構成して、『よし、105円元取った!』と」

105ball.jpg
とみさわさんがブックオフの105円値札で作り上げたボール。

 とみさわさんにとって、蒐集するモノそのものは実は「どうもでいい」のだという。

 「野球カードをやっていたときに、『白いトレカ』っていう話をよくしていたんです。野球カードって、好きな選手がいて、その選手のサインが書いてあったり、ジャージの切れ端がはさまってたりするカードをみんな夢中になって集めるわけだけど、僕は心の中でなんか違うなと思っていた。僕も好きな選手のカードが4千枚ぐらいあったんですが、それをぜんぶ集めたいっていう気持ちでやっていたから、ぜんぶチェックリストにしていた。でも、実は僕のこの気持ちは、別にその選手じゃなくてもいいんだよ。つきつめていくと、トレカは真っ白でいいんだよ。裏返すと、裏に番号だけ印刷してある。それが日本全国に散らばっていて、それを集める」

 とみさわさんが行き着いた蒐集原人の真髄を垣間見るような話だ。

 「つまり、混沌としているものに秩序を与えるという行為が、僕は楽しいんだ、ということです。で、それを突きつめていくと、『エア・コレクター』っていう概念にたどり着いたんです。究極的にはモノですらないんだ、と。」

 「僕はエクセルが大好きで、仕事では毎日10時間、11時間エクセルと格闘してるんですけど、家に帰ってからもエクセルでバカ本を整理するリストを作るんですよ。究極的には、僕はエクセルだけあれば他のものは要らないんです。そこに数字を打ち込んでいるだけで(笑)」

◆Profile:とみさわ昭仁
ゲームデザイナー/ライター。幼少時から収集癖が強く、切手、映画チラシ、少年マンガ、レコード、探偵小説、ジッポー、ベースボールカード、人喰い映画DVDなどを経て、いまはブックオフの105円コーナーめぐりに夢中。

(2008/12/11 執筆)