淡白な筆致で切り取る残酷な「あるある」 / so(そうやね)

日常の空想の中に立ち現れる無意識のグロテスク。それをサラっとメモったようなマンガ。「そうやね」はそんな作品を発表し続けている。

テキスト:川崎和哉(Spoo! inc.

 今回は例外的にQ&Aスタイルでお伝えします。そのほうが、「そうやね」や作者市田さんの「温度」が伝わりやすいだろうと思ったからです。

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so(そうやね)
2003年からの作品を網羅。実は時事ネタも多い。
女子キャラが意外にチャーミング。

 ――作品を描く動機になっていることはどういうことですか?

  「お笑いが好きで、コントや漫才を作りたかったんですが、ただの思い付きを一編のネタとして完成させるのがしんどかったので4コママンガとして断片的にでも形にしていこうと思ったのが始まりです」

 ――読者からのリアクション、コメントは気になりますか? それが次の作品になにか影響を与えることはありますか?

  「読者の反応は気にしますし、どんな感想でもいただけるとうれしいんですが、それを踏襲してどうこうってのはありません。よくそっけないサイトだって言われるんですが、そのとおりで、勝手に公開してるからご自由にご覧くださいという姿勢でやってます」

 ――Webという場所がなかったら、どのようにしてマンガを発表していたと思いますか。

  「描いていなかったと思います。(Webでマンガを発表する以前には)そもそも何かを作るということがありませんでした」

 ――ご本人として、自分の作品のテーマを言葉にするとしたらどういうものでしょうか。

 「あるあるネタです」

 ――空想についての「あるある」が多いように思います。空想や考えごとの時間は長いほうですか?

  「長いですね。ただ、じっくり考え込むのではなくて、自転車乗ったり料理したり掃除したりしながらうっすら別のことを考えるのが好きです」

 ――サイト開設当時(2003年)の絵と、現在の絵はかなり違っていますね。ただ、ある頃からは同じタッチに落ち着いているように思えます。スタイルが確立されたという感じはありますか。

  「単に昔は下手だっただけです。今もかなり下手ですけど、下手さに慣れたという感じです。あんまり絵柄を模索しているということはなくて、最低限コマの中で何やってるか解ればいいやという程度です」

 ――道具はどんなものを使って描かれているのですか?

  「A6のタブレットと『SAI』っていうソフトで描いてます。サラっと描けるときもあればちまちま時間がかかるときもあるんですが、結果は同じです。たまに『本気で描くとすごいんでしょ』的なことを言われますが、本気で描いて今の絵なのでどうもすいませんとしか言いようがないです」

 ――好きな小説、好きな映画、好きなマンガをそれぞれ教えてください。

  「好きな小説は、レイモンド・カーヴァーの『カーヴァーズ・ダズン』。好きな映画は、今村昌平監督と岡本喜八監督の作品と、あと戦争映画全般です。好きなマンガは『じゃりン子チエ』です」

◆Profile:市田
2003年ごろからさくらインターネットのスペースを借りたサイトでマンガを公開しはじめました。ちなみに契約プランはさくらのレンタルサーバ・ライトで月額125円。最近容量が増えたのでみんな使えばいいと思います。

(2008/11/17 執筆)