ネタフル/コグレマサト氏

ITトピックスやデジタルガジェットはもちろん、グルメ、音楽、芸能ニュースにいたるまで、常に新しいネタを提供し続ける人気ブログの「ネタフル」。日本初の本格的なブログネットワーク、アジャイルメディア・ネットワークへの参加も大きな話題を呼びました。今回は、そんな人気ブログ「ネタフル」を日夜1人で執筆し続けるコグレマサトさんにお話を伺いました。

インタビュー:川崎和哉(Spoo! inc.
テキスト:小林邦昭(Spoo! inc.

▼朝6時に起床してネタを探して、夕方の5時頃までブログの執筆に費やしています

川崎:早速ですが、ネタフルのPVを教えてください。

コグレ:今は月100万PVで、ユニークユーザーは60万くらいです。検索エンジン経由のアクセスが大半を占めているので、お目当ての情報が見つかれば他のページは見ずに去ってしまうというパターンが多いですね。

川崎:アルファブロガー常連のコグレさんですが、ネタフルの人気の理由はどこにあると思っていますか。

コグレ:意識していることと言えば更新頻度の多さとネタの選択基準ですね。自分が面白いと思えて、他の人にも喜ばれそうなネタをピックアップしています。更新は1日20回を目標にしていますので、朝6時に起床してネタ探しに2?3時間、執筆を含めると夕方の4、5時までMacに向かっています。ほとんど一般的なサラリーマンと一緒です。

川崎:では、可能な範囲で情報源を教えてください。

コグレ:国内のニュースサイトのメルマガとRSSリーダーが基本です。いずれもサイトを見て回るよりは早いですからね。海外はLifehacker等のブログをメインにチェックしています。

川崎:そこから得た情報は、どのくらいふるいにかけてネタフルに採用するんですか。

コグレ:うーん、正確に数えたことはないので何とも言えませんが、大まかな採用率は1/10?1/20くらいですかね。「自分の興味があること」というのが一番の基準です。ジャンルについては、IT系のニュースはもちろん、デジタルガジェットからWebの最新トピックス、育児、芸能など、統一されているような、いないような感じですが、わかる人が見ればネタフルらしさがあるんでしょうね。僕はもともとMacを愛用していたんですが、情報収集にSleipnirというタブブラウザを使いたいがためにParallels Desktopを導入してWindowsを使っています(笑)。

▼ブログは書き手の個性が反映されますから、自分のメディアとして1人で書きたいと思っています

川崎:今のネタフルは純粋にコグレさんの趣味や嗜好を反映した内容ですが、チームを組んで複数で運営される予定はありますか。また、スマッチ!ギズモード・ジャパンのように、外部の書き手として協力する道は考えてないんですか。

コグレスマッチ!ギズモードは知り合いに依頼された部分が大きいですね。僕個人としては、多人数で記事を書くのはいいと思いますが、ブログってやっぱり書き手の個性が重要だと思っています。外部から原稿を依頼されたとして、そこではネタフルらしさが求められているのか? それともより客観的な文を求められているのか? そうやってあれこれ考えて、個性を消して、毒にも薬にもならない文になってしまうのが怖いのです。ネタフルはできれば自分のメディアとして1人で書き続けたいと思っています。僕はブログの執筆もシステムの運用も全部1人でできますから、それが強みにもなっていますし。

川崎:今はブログと、その他コンサルの仕事をして生活されているんですよね。それって、収入の面も合わせていろいろと大変そうですがいかがでしょうか。

コグレ:僕はブログが書きたくて仕事を辞めたんです。会社勤めをしていたときは出勤前と昼休み、そして帰宅後にブログを更新していましたが間に合わなくてブログ1本にしました。収入はアジャイルメディア・ネットワークが伸びてくれることを期待しています(笑)。あとは、SEO対策もしっかりやってPVを上げ、ネガティブなエントリーを書かないことも心がけています。
※ 2007年2月に設立された日本初のブログネットワーク運営企業

川崎アジャイルメディア・ネットワークは他のブログで書かれたエントリーがRSS的に配信されるなど、面白い試みですよね。

コグレ:ブログを使いこなす企業には向いていると思います。でも、今の日本でブログを使いこなしている企業も多くはないですから、その辺のジレンマがあるかもしれませんね。しかし、アジャイルメディア・ネットワークをはじめとするブログネットワークはアメリカで成功しているビジネスモデルですから、今後に注目しています。それは僕の未来の一つでもあるわけですから、きっと成功すると信じています。

▼ブログを書くようになり、メルマガを配信していた時代に比べて非常に多くの知り合いができました

川崎:広告ビジネスをコグレさんが手がける予定もないんですか。

コグレ:僕は営業・交渉には向いていないんです。会社員時代は営業から制作まで全部1人でやっていたんですが、やっぱり書くことだけに集中したいという思いがあります。10年前からメルマガを配信していたというのもあって、やっぱり「自分メディア」的なものが好きです。

川崎:コグレさんのプロフィールには「モノを書くのが好き」とありますね。

コグレ:そうですね。ブログは自分で見つけてきたことを自分の好きなように書ける。それが魅力ですね。昔バンドをやっていて作詞作曲を手がけていたんですが、その延長線上にブログがあるんだと思います。自分を何らかの形で表現したい、という思いがあるんでしょうね。ブログを書くことによって世界が広がりました。

川崎:ブログとメルマガの大きな違いってなんですか。

コグレ:メルマガは登録しないと読めませんが、ブログはリンクや検索エンジンから訪問できますよね。開かれた世界だと思います。ブログはトラックバックにより横の繋がりもできますし、メルマガを配信していた時代に比べて非常に多くの知り合いができました。その関係がmixiに持ち込まれて、そこからまた深い繋がりになっていきます。

川崎:ブログに移行して、アクセス数はどう変化していきましたか。

コグレ:アクセス数は徐々に上がっていきましたね。やっぱり、検索エンジンからのアクセスが多いので、記事が増えるにつれてPVも伸びてくるという構図です。

川崎:ネタフルの特徴としてスピード感があると思います。更新頻度やコンパクトにまとめられた記事を見るとそう感じます。

コグレ:コンパクトな記事にすることは心がけています。もちろん、力を入れた長めの記事を書くときもありますけど。あとはやっぱり、ネガティブな内容は書かないということですね。僕はネタフルメソッドというもの決めて自分に課しています。その内容は「ネガティブな内容は避ける/楽しんで書く/振り返る(PVやその他を)/ルールを作る(早起きして書くなど)」といった感じで、ネタフルの頭文字を取ってつけてみました(笑)。

▼ブログの出現により、ようやく個人がメディアになれる時代が来ましたね

川崎:海外でのブログメディアの台頭についてはどうお考えですか。

コグレ:ブログメディアは日本でも広まると思います。ギズモードも日本語版が出ていますし、百式の田口さんも結果を出していますよね。大切なのは、書き手の顔が見えることだと思います。ブロガーの顔が見えないと読み手の共感を得られませんからね。

川崎:弊社でもdoopsというブログメディアを運営しているんですが、担当が苦労しています(笑)。最初は編集者的に作業をしていたんですが、どうも顔が見えないようで四苦八苦しているようです。

コグレ:これだけ情報が溢れている今だからこそ、差別化を図るためにも個性は重要ですね。そのサイトに訪れる動機づけになりますし。

川崎:最近気になるWebの動向やサイトを教えてください。

コグレ:動画系が面白いですね。You Tubeはもちろん、Break.comという素人の面白動画を掲載するサイトがランキング上位に食い込んでいますし、個人的にも気になります。動画サイトの本場である海外は自分撮りに見られるように、個性を前面に出す傾向が強いですね。日本もその壁を乗り越えることができれば、もっと盛り上がるんじゃないでしょうか。

川崎:ブログを専門にしながら、コンサルの仕事も行っている。そんなコグレさんのライフスタイルは画期的ですよね。

コグレ:今の自分があるのはブログのおかげだと思います。メルマガを配信していたときから、メルマガだけ書いて生活できればいいなと考えていましたが、ようやくそれが実現できてきた気がします。ブログの出現により、ようやく個人がメディアになれる時代が来ましたね。今後少しずつかもしれませんが、ブログを生活の中心にする人は増えていくと思います。でも、ブログで成功するためにはなんといっても蓄積が必要なので、結果が出るまでには時間がかかります。誰がやるにしても、少なくとも半年は続ける必要がありますね。継続できるかどうか、というのは大きなポイントです。