巨大掲示板「2ちゃんねる」のスレッドガイドとして、1ヶ月に約1000万のPVを誇る人気ブログ「【2ch】ニュー速クオリティ」。およそ800もの掲示板を包括する2ちゃんねるから選りすぐりのネタを紹介し、多くのユーザから支持を得ています。今回は「【2ch】ニュー速クオリティ」の管理人であり、2ちゃんねるの設立から現在までの変遷を見守ってきたうに氏にお話をお伺いしました。
インタビュー:川崎和哉(Spoo! inc.)
テキスト:小林邦昭(Spoo! inc.)
▼僕のブログをきっかけにして、一般の人が2ちゃんねるに興味を持ってくれれば嬉しいです
川崎:うにさんが自分のブログを始められたきっかけはなんですか。
うに:個人サイトは持っていたんですが、ブログで何か新しいことを始めたいと考えていたんですね。僕は昔からインターネットが好きだったんで、2ちゃんねるは当然のように見てました。ちょうど、その頃から2ちゃんねるのスレッドガイドが流行りだしてきたというのもあり、自分もやってみようかなと。また、僕自身それほど面白い情報を発信することができるわけではないので、情報をまとめて紹介する役の方が向いていたというのもあります。2ちゃんねるというとまだまだ世間的には良くない印象がありますが、それって匿名でログが残るという面が強調されすぎているだけだと思うんです。実生活でも2ちゃんねるに見られるような批判や暴言を頭で思っている人は存在するわけですから。
川崎:2ちゃんねるのスレッドガイドが流行った背景には何があると思いますか。
うに:効率性でしょうね。もともと2ちゃんねるは膨大な情報とアングラ的な雰囲気のせいで、時間のない人やそれほどネットに没頭していない人にとっては敷居が高かったんだと思います。そういった人たちにとって、2ちゃんねるの情報を見やすく・わかりやすくまとめているサイトは効率が良く、新鮮だったからでしょうね。僕のブログが2ちゃんねるに興味を持つきかっけになってくれればうれしいです。
川崎:1日のPVはどのくらいですか。
うに:更新のない日で30?35万PV、更新すると40?45万PVですね。ユニークユーザーは10?15万人います。2ちゃんねるって、もともと人の層が厚いから自分が面白いと感じるネタに共感してくれる人が多いんです。サイトを運営するにはユーザが多い方がやりがいも出ますからね。
川崎:かなりの数ですね。スレッドのセレクト基準を教えてください。
うに:ネット上で流行りそうなネタかどうか、という点を見極めます。多くの人がリンクやトラックバックを貼ってくれそうなものですね。正直、僕のブログだけではそれほど大きな影響力はないんです。まわりの人が同じネタを取り上げてくれることで、より大きな流れになるんだと思います。
川崎:更新作業にはどのくらいの時間をかけるんですか。
うに:毎日更新しているわけではないんですが、だいたい1日2時間前後ですね。帰りの電車でケータイを使って面白そうなスレッドをチェックするなど、今では生活の一部になってます(笑)。それと、僕のブログはアニメやゲームのネタが多いんですけど、会社ではそういった話のできる人間がいないんです。自分のブログを通して顔の見えない友達とアニメやゲームの話題で盛り上がれることも楽しみのひとつです。
▼2ちゃんねるとは人の発言のデータベースだと思います
川崎:最近の2ちゃんねる閉鎖騒動についてはどう思いましたか。
うに:それは完全にあり得ないと思ってました。マスコミが面白半分で取り上げたネタに尾ひれがついて大きくなったんでしょうね。2ちゃんねるの住人たちは「いつものことだろ」的なリアクションでしたし、ふざけてカウントダウンなんかもやってました(笑)。
川崎:2ちゃんねるのシステムって開設当時から大きく変わってないようですが、この点についてはどうお考えですか。
うに:僕自身は現状で十分だと思っています。2ちゃんねるというのは人の発言のデータベースであり、その発言こそが本質ですから今のままでも特に問題はないと思います。書き込みを容易に削除しないこともポリシーなんだと思います。そして、ブログやSNSは個人がメインなのに対して、2ちゃんねるには個人が存在しない。だから、ひとつのテーマについて気軽に深く話すことができる。そういった場所も必要なんでしょうね。ブログやSNSでは自分という名前が足かせとなって本音の発言ができなくなる可能性もありますから。
川崎:2ちゃんねるの対抗馬が出てこないのはどうしてだと思いますか。
うに:情報というものは人のいるところに集約されますから、2ちゃんねるのように巨大な掲示板がひとつできてしまうとみんな離れられなくなるんじゃないですかね。匿名が好きな人は2ちゃんねる、人との繋がりを持ちたい人はブログやSNSという具合に住み分けもできてますし。
川崎:2ちゃんねるの今と昔で変わった点はありますか。
うに:2000年頃の2ちゃんねるはまだまだ認知度も低くて、そこにしかないアングラ的な情報が転がっていたんですが、2ちゃんねるだけの情報というものも時代の流れに沿ってほとんどなくなってきましたね。今ではちょっとネットを回れば、たいがいの情報を得ることができますから。
川崎:これまで2ちゃんねるで起きた事件は数多くありますが、印象的なものを教えてください。
うに:特に印象的だったのは、2001年の2ちゃんねる閉鎖騒動※ですね。顔も知らない人同士が2ちゃんねるで繋がって、閉鎖の危機を乗り切ったというストーリーに感動しました。2ちゃんねるの住人がひとつになって何かを達成したという、最初で最後の出来事だったんじゃないでしょうか。
※ 参考URL「8月危機」
▼僕のブログをきっかけにして、一般の人が2ちゃんねるに興味を持ってくれれば嬉しいです
川崎:今後の2ちゃんねるに望むことはありますか。
うに:僕はしがらみに囚われない自由な環境が好きなんです。2ちゃんねるって、どんな文句も言える巨大な個人サイトだと思います。その状態を維持して、今後もなんのしがらみもなく誰もが発言できる場であって欲しいです。
川崎:自身のブログをこれから大きくするつもりはあるんですか。
うに:今のところは考えてないです。僕自身はこれからも面白いものを広められる場を提供していきたいです。現状は2ちゃんねるのまとめで手一杯ですけど、個人のブログでも面白い情報を発信している人は多いですからね。そういった人たちを世に広めて、今まで以上にWebが面白くなればそれでいいと思います。日々の更新は正直しんどいときもありますが、趣味だからここまで続けられたんだと思います。