虚勢されたネットへの「不謹慎」なカウンター / 下載共有日報

メジャー化したインターネットに発信されるアンダーグラウンドからの怪電波。『下載共有日報』の編集長ダグラス・ホイ氏に話を聞いた。

テキスト:川崎和哉(Spoo! inc.

「報道する情報に一切の責任を持たないのが本紙のポリシーです」と、はっきり断っているニュースサイト。それが『下載共有日報(デイリーダウンロード)』だ。

 扱うネタは、基本的に怪しいかったりヤバかったりエロかったりするものばかり。ジャンルはIT業界、アジア各国、ファイル共有など。文章のトーンは世間の建前を思い切り茶化したもの。ひとことで言うと、とても「不謹慎」なサイトなのだ。

 でもこの「不謹慎」さは、90年代後半までのインターネットには常について回っていた「同じコインの裏側」のようなものだという気もする。こういう部分はいまや、本当に地下に潜り、ふつうの人々の目には届きにくくなった。あるいは2chやYouTubeのように市民権を得てオモテ化した。『下載共有日報』は、そんなキレイになったインターネットに対するカウンターではないのか? というわけで編集長にメールで聞いてみたのだが……。

「思想とか志はありません。ニュースサイトは死ぬほど楽で、広告バンバン儲かるよ、という話を又聞きしてゴーサインを出しましたが、歯車が狂ってしまったというのが正直なところです」とかなり正直な返事が返ってきた。

 当初はサイト名どおりダウンロード関連の情報専門にするつもりだったが、地味なのと同じような話が多すぎるので少し路線修正。

「結果、ウィニー流出云々よりも学校裏サイトの与太話などにアクセスが集中しています。また、アジアのお話は主に中国・韓国のろくでもないニュースを中心に紹介しています……とはいえ、このジャンルは最近過当競争気味なので、若干視点をずらすように心がけていますが」

 世界中から拾ってくるネタは、独自取材や市民記者からのタレコミもあるがまだ数が限られているので、「3日に一度、50個くらいの新聞やらブログやら片っ端からチェックします。毎日じゃないのは、毎日そんなものを読むのはどう考えても身体に悪いからです。ネタ選びの基準は、20?30行にまとめられるか、という点だけ。1行コメントで済ませることができればよいのですがサイトのレイアウト上不可能なので、どんなにくそつまらない事件でも、20行以上なにか書かなければいけないのです」とまたしても正直な回答。

 でもやっぱりこういう世界――ファイル共有、アジアなど――に惹きつけられるからこそ続けられることだと思うのだが、その魅力とは?

「繁華街の道の真ん中に定価12万円もするソフトやら、新作のエロゲやら、未公開映画のDVDが落っこちてたら……。周りの連中は喜んで拾いまくってる。当然拾いますよね。でもそれは犯罪で、たまに運の悪い奴が警察に捕まって羽交い締めに……。例えるとこんな状況だと思います。でも拾うんだよ! という破れかぶれなところまで追いつめられた人々にある種の魅力を感じるのです。ということにしておきます」

 最後に、編集長がいま面白いと思っているインターネットの怪しい部分について教えてもらった。

「とっつきにくいけど、ニュースグループだと思います。人知れずすごいことになっています」

下載共有日報
下載とはダウンロードのこと。IT関連とアジア関連の「怪奇ニュース」を毎日紹介。

Profile: ダグラス・ホイ
国籍は(おそらく)日本人。海外在住で世界各地のスタッフに指示を出し、「下載共有日報」を運営しているらしい。ちなみに副編集長はヒダ・サバブ、デスクは沈元海。他の記者たちも全員あり得ない筆名で愉快。