Cross-Checkを改造してベルトドライブにしてみた。【第3回 3か月後のインプレッション】

ベルトドライブに改造したCross-Checkのことを、ここからは米国の先達Dougさんの真似をして、Belt-Checkと呼ぶことにする。そのBelt-Checkに3ヶ月ほど乗ってきての感想を書く。

 

乗り味は微妙にソフト、な気がする

Belt-Checkに乗ってみての第一印象は、漕ぎ出しが少しフニャッとしている、ということだった。チェーンの金属的な、ガキッといきなり足に反動が来る感じがなくて、一瞬だがわずかに力が吸収されるような感覚がある。
でも、だからといってそのあともフニャフニャしてるかというとそんなこともなくて、走り出すとロスなく車輪に力が伝わっている感じがする。
ただ、急にキツい上り坂になってトルクがかかった一瞬などは微妙にソフトかなーという感じはある。全体に、チェーンの自転車よりも乗り味としては微妙にソフト、なんだと思う。この乗り味を肯定的にとらえるか、否定的にとらえるかは人によるだろうが、「慣れ」ともいえる。僕はすぐ慣れた。

乗る前は、急坂を立ちこぎでガシガシ登るようなときに、ベルトが伸びたり、歯飛びしたりしないのかがちょっと気になっていたのだが、ベルトだから坂が重いと思ったことは今のところない。また、歯飛びも今のところ一回もない。

チェーンよりも力を効率よく伝達する、と書いている記事を読んだことがあるが(どこでか忘れた。英語だったと思う)、実際どうなのかはなんとも言えない。客観的な計測方法があるといいのだが。

 

複合的な理由で、すごい静か

次に感じたのは、「すごい静か」ということだ。これはGates社も謳っている特長だが、確かに静かだ。金属的な摩擦音はまったくしない。

もっともこれは、ディレイラーを使っていないということも大きく関係しているはずだ。ディレイラーは金属同士がこすれる箇所が外に露出しているし、ローギアやハイギアではチェーンが斜めにかかるので、よけい音が出やすくなるんだろう。シングルスピードや内装ギアハブだと、チェーンであってもディレイラーよりずっと音が静かだから、それがベルトになるとより静かになるのは当然だろう。
Alfine 11がとりわけ静かということもある。たとえばSturmey Archerの5速内装ハブは何速に入ってるかによってはカチカチ音がするが、Alfine 11はほとんどそれがない。その上、ペダルを止めてハブが空回りしているときも、ジーーーッというラチェット音が出ないので、さらに静かだ。
夜、かなり静かな場所を走っていても、前を歩いてる人が後ろから近付くBelt-Checkに気づかないぐらいだ。

 

改造したフレームの強度は大丈夫か?

そういえば、Belt-Checkのフレーム後ろ三角には、切断して部品で接続している部分があるのだった(第1回参照)。

乗っていて、このことを意識するような乗車感覚を得たことはいまのところいちどもない。たとえばなんかグニャッとするとか、音がするとか、そういうのはいまのところまったくない。この改造部分を意識するのは洗車のときぐらいだ。

狭山湖を囲んでいるダート(未舗装道)や多摩川河川敷丸子橋~下流方向川崎側のダートも走ってみたが、これもいまのところなんの問題もなかった。

ただ、とはいっても改造部分の強度や弾力性、耐久性はある程度損なわれてるはずなので、ときどきチェックしたほうが身のためだろう。ボルトがしっかり締まってるかとかも。

※改造はくれぐれも自己責任でお願いします。僕は一切責任とりません。

 

ベルトドライブのメリット

箇条書きにしてみる。

●すごい静か
前述の通り。

●手やズボンが汚れない
潤滑油を付けないから、ベルトに触れても汚れない。泥やほこりは少しは付いているだろうが、チェーンの比ではない。ズボンのすそ止めを忘れても平気だ。

●チェーンを洗浄しなくていい
油汚れがないから、特別な掃除をしなくていい。

誰でも知ってると思うが、チェーンを洗うのは本当にたいへんだ。ディグリーサーでどんなにキレイに洗っても、黒い汚れを完全に取り去ることはできない。後ろのギアのスキマには泥と油の混じったカスみたいなのがたまるが、これを取るのもとても面倒くさい。仕上げに潤滑剤を差そうと思うと、ディグリーサーがなかなか乾かなかったりする。

ベルトドライブはたまに水で流すぐらいで十分きれいだ。これはほんとに楽だと思う。

 

ベルトドライブのデメリット

●対応フレームが必要
フレームの右後ろ三角のどこかに、必ず切れ目が1箇所ないと、ベルトがインストールできない。ベルト側につなぎ目を作るというのはナシなんだろうか。耐久性が落ちるし、回転のスムーズさを阻害するんだろうか。

●ベルトに適正なテンションをかけるのがたいへん
第2回で書いたように、Belt-Checkではこれは骨の折れる作業だが、ベルトドライブ対応のフレームや、ストレートエンドでチェーン引きが付けられるなら、そうでもないだろう。

●輪行の時、後輪を外せない
もちろんレンチがあれば外せるが、Belt-Checkのようにチェーン引きが付けられないとなると、手の力でテンションをかけなくてはならず、嵌めるときにたいへん。
それなら、後輪を外さないタイプの輪行袋を使ったほうがいいだろう。

●部品の選択肢が限られる
ベルトドライブにするなら、現状はGates社のCarbon Driveがほぼ唯一の選択肢だ。
そして、Gates社のベルトを使うなら、リアスプロケットもフロントスプロケットもGates社の製品を使わないといけない。サードパーティの互換品はまだほとんどない。

●多段変速にするには内装ギアハブを使うしかない
ディレイラーが使えないのでいまのところこれしか方法がない。

●重い(シングルなら軽い)
内装ギアハブを使うとディレイラーにくらべてどうしても重くなってしまう。Belt-CheckはAlfine 11を使っているので、ギアハブだけで1.6kgある。
ベルト自体は軽いが、多段変速にするとチェーンの自転車より結果的に少々重たくなってしまうことが多いだろう。

 

未来の自転車の「人柱」になる喜び

このように書き出すと、メリットよりデメリットが多いように見えるかもしれない。ただ、デメリットのいくつかはもっとベルトドライブが普及したり、技術が発達すると解決するだろう。

対応フレームがたくさん出てくれば、今回のようなフレームを切断する改造などしなくて済む。対応フレームならテンションもかけやすいし、輪行の時に気軽に後輪を外せるようになるかもしれない。部品の選択肢も増えるだろう。

内装ギアは少し車重が重くなるけど、スムーズな変速や見た目のシンプルさ、日常的なメンテナンスがあまりいらない、止まったまま変速できるなど、いいところもたくさんある。Alfine 11は素晴らしい内装ギアハブだ。街乗りや輪行しないツーリングなら、重さよりその快適さが勝つかもしれない。

それに、ベルトドライブが仮に、未来の自転車のプロトタイプのひとつだとしたら、その「人柱」になるというのも(人によっては)悪くないのではないか。
自転車の構造やスタイルは、20世紀前半からそんなに本質的には変わっていないと思うのだが、そんななかで、チェーンがベルトになったり、ディレイラーが内装ギアハブになったり(内装ギアハブは20世紀初頭からずっとあったそうだけど)というのはけっこう大きな変化だろうから。

 

【第4回 ハンドルをドロップに変更】に続く。